三十路理系男の科学ニュース日記

ブログ名のとおり、三十路過ぎの理系男が世の科学ニュースを見て色々思ったことを書き連ねるブログです。

土星探査機カッシーニ、20年の運用に幕引き

2017年9月15日、土星探査機カッシーニが「無事」土星大気に突入し、最後のミッションを終えた。

mainichi.jp

カッシーニの最後のミッションは、自ら土星大気に突入し燃え尽きること。燃え尽きるその直前に、直接測定した土星大気の情報を地球に送ること。この2つだ。

そもそも、なぜ土星の大気圏に突入しないといけないのか?土星の大気を直接するならば、他の方法もあるのではないか?また、バッテリーが切れたそのあとも、そのまま土星のまわりをぐるぐる回っていればいいのではないか?

・・・実は土星の大気を測定するのは、そのおまけらしい。カッシーニは燃え尽きなければいけない運命らしい。その理由が、他の星(土星の衛星)に地球の微生物を送り込んでしまうリスクをなくすためらしい。

カッシーニの探査によって、太陽系には地球外でも生命が存在しうる可能性がさらに高くなった。カッシーニの探査によって、土星の衛星タイタンとエンケラドゥスに、生命が存在する可能性があることがわかった。

natgeo.nikkeibp.co.jp

sorae.jp

 

まさかそんな重大な発見をしてしまうとは、打ち上げ時には想定されていなかった(と思われる・・・期待していた学者はいただろうけど)カッシーニ。打ち上げ前に滅菌処理などをしたわけではない。カッシーニには、地球起源の微生物が付着しているのだ。

宇宙空間で微生物が生きられるのか?可能である。日本人に身近な「納豆菌」は凍結乾燥状態なら真空でも生きられる。納豆菌に限らない。最強の微生物といわれる「クマノミ」とか、それ以外にもいわゆる冬眠状態で、水のある環境に戻れば再び活動し繁殖する微生物はかなり多い。カッシーニは地球の微生物で「汚染」されているのだ。

バッテリー切れになり、土星の周りをぐるぐるまわっていると、ごくわずかながら将来的に他の衛星に落下する可能性もある。それが、生命のいる可能性のあるタイタンやエンケラドゥスだったら・・・。地球外に生命が存在しうる星の環境を著しく変えてしまうのだ。今日本はヒアリの侵入に戦々恐々としているが、それどころではない生態系の破壊につながりかねないのだ。

カッシーニが自らの功績・・・生命が土星の惑星にいるかもしれない事実・・・のために燃え尽きなければならないとは、なんとも皮肉っぽい気もする。

これで燃え尽きず、土星にも我々の想像していないタイプの生命がいて、結局土星を汚染してしまった・・・とかなったらおそろしいが。まぁアンモニアの大気とかでできている土星なら、人類とか地球の微生物と干渉するような生命体はいないだろうけれど、SF小説のネタくらいにはなるかもしれない。

ともあれ、カッシーニの功績は素晴らしかったと思う。カッシーニも、ずっと運用してきたNASAの職員さんたちも、お疲れ様でした。

 

以下、カッシーニの数々の功績。

BBCニュースなので英文のみだが、写真とか画像が充実しているので、英語が読めない方もお楽しみいただけるのではなかろうか。

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ボイジャー1号が打ち上げられてからちょうど40年!

人類の作ったものでいまのところ(2017年9月現在)唯一、太陽系外へ出た探査衛星ボイジャー1号。このボイジャー1号が打ち上げられてから、今日でちょうど40年だという。

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記事によると、ボイジャー1号の打ち上げは1977年9月5日。その2週間前の1977年8月20日にボイジャー2号が先に打ち上げられたらしい。いや、ボイジャー1号2号は知っていたが、2号の方が先に打ち上げられたというところまでは知らなかった。

この40年間、地球上から打ち上げられた数々の人工衛星が寿命を迎え、大気圏に突入して燃え尽きただろうに、このボイジャーたちは40年間、未だに地球へ信号を送り続けているらしい。すごい!

さて、地球を回る一般的な人工衛星は、だいたいみんな太陽光電池を積んでいて、そこから電源を得ている。このボイジャー、太陽から遠く離れてどのように電源を得ているかと言えば、プルトニウム原子力電池なのだ。半減期2万4千年のプルトニウムなら、まぁ1万年くらいは持つのだろう。人類の方が1万年持たないかもしれない。

ボイジャーに人類の記録を色々積んでいるのはいいけれど、このプルトニウム電池が活発に生きているときだと、近づいた宇宙人にも悪影響なのではなかろうか。地球人類による放射能汚染が太陽系外にまで広がらないことを願うばかり。

話しはそれるけれど、核のゴミを太陽に向けてロケットを飛ばして処分しないのは、ロケット打ち上げが失敗したときにとんでもないことになるから。それなのに、ボイジャープルトニウム電池はよく頑張ったものだなぁと思う。スリーマイル島メルトダウンの前だったから、アメリカ人も放射能に対してまだ穏やかだったからなのだろうか。

 

 

なぜ植物の葉の大きさは大きく異なるのか?理由はまだわからないようだが・・・

BBCの科学ニュースに、ちょっとおもしろい記事があった。いや、記事が面白いというよりも、その問題提起が面白かった。

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記事によると、バナナの葉とヒースの葉の大きさは100万倍も違うらしい。「植物」というカテゴリーにも色々種類があるのだろうが、なぜこんなに違うのか、という問題提起は確かに面白い。いや、それ疑問に思ったことなかったけれど、確かになんでだろう、と。

まぁ、それを言ったら最小の哺乳類キティブタバナコウモリ(大人でも1.5グラム)と最大の哺乳類アフリカゾウ(最大13トン)では体重で870万倍の差があるから、植物の葉もそれくらい違ってもいいだろ!という意見もあるかもしれない。

ただ植物は動物と違って動かないので、基本的には気候に左右されるのだろうなと思われる。事実、数十年前までは、研究者もその地域で得られる水の量(降水量)と気温とのバランスだと考えていたようだ。納得はいく。

ただ、この記事によると、7,000種類もの既存の植物を調べていくと、降水量と気温だけでは説明できないようなケースも多々あるとのことらしい。そんなに単純ではないとのこと。

では、あとはどのような要素が考えられるのだろうか?記事では「光合成」について言及している。つまり日射量ということか。なるほど、気温とはちょっと違うし、実際光合成は葉で最も活発に行われるわけだし。

では、それ以外は可能性として何があるだろうか?水、温度、日射量以外といったら、あとはその地域の土壌とかだろうか。酸性、塩基性といったpHのほか、ミネラルの種類だとかそういうのが関係する可能性もある気がする。植物には石灰岩地域だとか超苦鉄質岩の分布域にしか見られないものもあるらしいので、土壌(地質?)が関係するというのもありうる気がする。

どのみち、そこまで要素が増えると、葉の大きさだけにとどまらないような気がする。このような研究ってどのように多数の要素を特定の因子に収束させていくのだろうか。その手法が気になった。

ドイツで世界最強のX線レーザーが稼働。ミクロの世界を観察できるらしい。

ドイツのハンブルグ近郊で、世界最強のX線レーザーが稼働を始めたそうだ。

www.afpbb.com

X線というと、レントゲン写真のようなものを連想するが、この記事を読む限り、原子やウイルスの内部構造を調べたり化学反応を観察したりと、どうやら電子顕微鏡のような役割が期待されるらしい。なるほど、電子顕微鏡だと原子やウイルスをそれ以上拡大してみるのが難しいが、X線だと分解能がさらい上がることが期待できる。

この施設、地下38mにあるという。強力なX線による影響を抑えるためなのだろう。

X線って電磁波だから、良く考えたら電子顕微鏡よりも使い勝手がいいのだろうか。私は大学で電子顕微鏡のような装置を使ったことがないが、使ったことがある人の話だと、ちょっと離れたところにあるエレベーターの動きが電子顕微鏡のノイズになるらしい。エレベーターは鉄の箱で、鉄原子に大量の自由電子が含まれているから、それが移動すると、その影響で電子顕微鏡の電子線がわずかに曲がるらしい。X線ならその心配が無いような気がする。

でも、そんなに強力なX線を照射して、ウイルスとか化学反応とかに影響しないのだろうか?ウイルスとか、観察する前に分解してしまったりしないのだろうか。世界最強とはいえ、出力は分子の結合が切れない程度に調整できるのだろうか。このあたり、研究者の「慣れ」が必要なのだろうなぁ。

JAXAの金星観測衛星「あかつき」が金星大気の謎に迫る

金星って地球の兄弟星と言われるくらい大きさも近く大気組成も古代(約40億年前)の地球に似ているが、同時に地球と似ても似つかない部分がたくさんある。

例えば、太陽系の惑星の中では逆回りをしているとか(横倒しの天王星もかなり個性的だけれど)、厚い二酸化炭素の大気に覆われて地表の温度が400℃近いとか。

その中でも、「スーパーローテーション」という金星のジェット気流は、太陽系最大級の謎のひとつに数えられているらしい。

sorae.jp

なぜそんなにすごい謎扱いされているのか。それは、このジェット気流が金星の自転速度よりも速く回転しているから。

といっても、金星の自転周期は記事のとおり243日と遅い。太陽の周りを回る公転周期は224日なので、なんと金星の1年よりも1日の方が長いという状態だ。そんなほぼ自転が止まっているような状態の金星で、約4日で1周するジェット気流が存在するそうだ。力学的には、確かになぜそんなことになるのかわからない。

今回あかつきが探査した結果、金星の赤道付近で特に強風が吹いているという結果が出たそうだ。これが新たな謎を生んでいるらしい。

しかしまぁ、人類のわかる範囲の常識で考えると、つまり太陽からのエネルギーによる外的営力では説明がつかないのであれば、金星の内的営力、つまり火山活動だとかによるもので大気に熱エネルギーが与えられて、大気の運動に影響を与えているのではないかと推測される。今回の記事やこれまでの観察事実からすれば、それ以外に考えにくいし、それ以外の特殊な現象が起きているとも、現在の物理学では考えにくいのではないのだろうか。

記事の話題と直接関係ないけれど、リンク先真ん中あたりの北海道大学の堀之内教授が両手を中途半端に上げている写真が、なんかかわいいというか間抜けというか、見ていて微笑ましい。研究者の素の姿というか、純朴さを感じなくもない。

 

9月1日に大きさ4.4kmの小惑星が地球に接近するらしい。

9月1日に、過去1世紀の間に地球に接近した小惑星の中でも最大級の小惑星が地球に接近するらしい。

書いていてまぎらわしいが、まぁ100年以上ぶりのイベントだ、ということだ。

www.afpbb.com

 

小惑星の大きさは約4.4kmで、エジプトのピラミッド30基分の大きさとのことだが、このエジプトのピラミッド基準というのがかえってよくわからない。東京ドーム〇〇杯分と同じくらい、よくわからない

ちなみに、接近する距離は地球から約700万km。これもピンとこないかもしれないが、地球と月の距離がだいたい38万kmなので、地球と月の距離の20倍よりは近くに接近するらしい。こう考えると、まぁ何もない宇宙空間の中では最接近、ニアミスなのだろうが、地球に衝突するおそれはないという言葉にも説得力がある。結構離れてはいる。

そもそも、地球の大きさがよくわからないという方、地球の平均半径は約6,371kmである。ということは、直径は約1万2600km。東急ハンズに発泡スチロールの球が売っているのだが、直径20cmとか30cmとかの球と一緒に、12.5cmという中途半端な大きさの球が売っているのは、地球の約1億分の1の大きさだからだそうだ。いやまぁ、地球の模型とかなかなか自作しないけれど。

・・・というわけで、夏休みの自由研究が終わらず半ばあきらめ気味の小学生のみなさんは、9月2日・3日の土日に12.5cmの発泡スチロール球を買ってきて、同じ縮尺の月の距離とか、この最接近する小惑星の距離とかを再現してみるとおもしろいかもしれない。きっと、地球の直径に対して意外と離れている、という印象を受けるだろう。多分、学校の教室には飾れず、廊下に展示することになるだろう静止衛星の地表からの距離約36,000kmでも、結構な距離だから。

・・・まぁ、本当に地球のすぐそばに小惑星がやってきたら、仮に衝突しなくても、日中も観測できたりして恐怖感を感じるかもしれない。

壁に貼り付くことのできるドローン。ビルのメンテナンスなんかにいいかも。

壁に貼り付くことのできるドローンがすごい。

www.gizmodo.jp

 

記事の中では災害救助とか人道支援といったことに触れられているが、もっと身近な、たとえばビルや高層マンション、高速道路の高い橋脚の点検などに使えるのではないだろうか。風にあおられて落下する可能性の高い一般的なドローンよりも有効性があると思う。人口密集地でも使えそうだし。

気になるのは、どの程度の付着強度があるかだけれど。突風にあおられて剥がされることがなければ、かなり使えるのではないだろうか。