好きなものに執着しすぎる
昔から好き嫌いの激しい子供だった。
好き嫌いというか、0か1かの思考だった。
好きなもの、興味を持ったものにはとことん執着した。
一方で興味のないものもは全くやる気が起きなかった。
私は理系だったが、興味さえ持てば他の多くの人が難解だと思われることも比較的難なくこなしてきた。
決して頭が良かったわけではなくて、好きだから勉強することが苦痛でなかったからだ。
一方で、興味がないことには一切やる気が起きなかった。
学校のテストの点が悪いのは良くないことだと思っても、本当に頭も体も、どちらも働かなかった。
私の場合、たくさんのことを単純に暗記しなければならない科目が苦手だった。
具体的には、英単語、漢字、歴史の年号のテストは本当に苦手で高校でも科目によっては赤点ギリギリだった。
やらなければならないことはわかっていても、本当に全くやる気が起きなかった。
それでも、それが勉強のことであれば大きな問題にはならない。
勉強をして優秀だと評価されるのも、しなくて劣等だと揶揄されるのも、すべて自身の責任で済むのだから。
問題は、対人関係で好き嫌いが明確に出ることだった。
私は好きな人にはとことん優しくした。
それは贔屓なのかもしれないが、少なくとも私の中では打算的な気持ちは一切なく、心の底から自分が大切な人には優しくした。
その一方で、興味関心が無い相手には普通の人以上に何もしなかった。
例えば学校のクラスメイトとか大学、会社の同期ならば、最低限の付き合いを世の多くの人はするらしいのだが、私は一切しなかった。
面倒だと思えばちょっとした集まりや飲み会もすべて断った。
クラスメイトとか友人関係であればまだよかった。
また、嫌いだと思って一切関わらない人に対してであればそれ以上の外にはならなかった。
一番の問題は、異性に対し好意を寄せてしまったときだと思う。
本当に理由はわからないのだが、私は好きな異性ができると、恐ろしいくらいにその相手に執着してしまっていた。
振り返れば10歳から31歳までの、自分の半分以上の人生はそうだった。
もともと異性にモテる要素もない上に、一方的に強い想いを寄せられた異性が私のことを好きになるはずもなく、うまくいくはずもなかった。
それなのに、振られてからも私は何年もその相手のことを忘れることができなかった。
中高生くらいのときは、それが純情なのだと、その考え方もどこで覚えたのかわからないような、変な理屈で自分自身の思いを大切にしていた時期があった。
それは相手にとっては迷惑でしかなかったのに、気持ちを切り替えることが全くできなかった。
大学生になったとき、さすがにこれはおかしいと理性が思っても、その気持ちを払拭することができなかった。
冷静に考えて、新しい恋を見つけるべきだとわかっていても、なぜか、本当に理由はわからないが、元々好きだった人のことを忘れることができなかった。
そして、その一方的な気持ちはさらに互いの人間関係を悪くするだけだった。
それでもその気持ちに区切りをつけられない。
実に破滅的だ。
私がアスペルガーであった自分の過去と決別をしようと思って以降は、そこまで強く誰か特定の異性に執着をすることはなくなった。
その一方で、本当に好きな人、好きなものも失ってしまった気がした。
でも、それでいいのかもしれない。
私の一方的な思いが誰かを傷つけるのであれば、そうならない方がいいのだ。
そして、世の多くの人たちは、きっと必ずしも特定の誰かだけを愛し続けるわけでもないというのも現実なのだと理解できた。
だから一度結婚しても離婚をする人もいるし、浮気をする人もいる。
倫理的に良い事とはいえないが、それが人間なのだ。
生物学的に考えれば何もおかしくない、遺伝子の多様性確保のための必要なプロセスだ。
だからこそ、いつも30歳になる前の自分自身を振り返って不思議に思う。
私が執着していたものとは、いったい何だったのだろうかと。
その強いこだわりは、いったい私の中の何がそうさせていたのだろうと。
光の波長が測定できる分光器のペーパークラフトを販売しています。夏休みの自由研究にも!
2019年8月11日に手作り分光計の作り方を紹介しました。
光の波長を測定できる手作り分光計を作ろう!夏休みの自由研究にも使えます! - 三十路理系男の科学ニュース+α 日記
この度、構想約2年、設計・開発約半年で分光器の作成キット(ペーパークラフト)を販売することにしました。
以下のウェブサイトで商品の説明・販売をしています。
実際の商品(組立後)
使用方法の概観
分光器を使用した光の観察例
興味がある方はぜひご覧ください。
商品のご購入の際は、注意事項を必ずお読みください。
夏休みの自由研究にも使えるように「分光器の使い方と使用例(自由研究のヒント)」のPDFファイルを無料で公開しています。
電池不要の関数電卓!計算尺について
計算尺ってご存知ですか?
今やコンピューターで個人でも複雑な数学の計算が簡単にできる時代です。
コンピューターを使わなくても、関数電卓を使えば高校で習う数学レベルの計算は簡単にできます。
関数電卓は、Windows やスマートフォンの電卓でも実装されています。
また、遅くても1970年代後半には既に、今のスマートフォンサイズの関数電卓が存在していました。
しかし、コンピューターであろうと関数電卓であろうと、どちらも電池(電気)を使うという点は同じです。
電気無くしては、どちらも役に立ちません。
そこで衝撃なのが計算尺です。
具体的には、以下の写真のようなものです。
この単なる細い板の組み合わせや円板が、なんと掛け算割り算、二乗、二乗根、三乗、三乗根、三角関数、指数対数などの高校数学で勉強する範囲の数値計算をする計算機なのです。
何がすごいというかというと、単なる板っきれなので電池が不要だということです。
1960年代までは、この計算尺を使ってありとあらゆる技術計算が行われていました。
「アポロ13」という1995年公開の映画では、1970年のNASAの技術者たちがアポロ13号の軌道計算に計算尺を使っているシーンがありました。
宮崎駿の「風立ちぬ」では、ゼロ戦設計者が1930年代に計算尺を使っているシーンが何度も出てきます。
この計算尺の使い方を、以下のウェブサイトで詳しく公開しています。
私が執筆したものです。
2021年4月に、ようやく基本的な計算方法をすべて解説し終えました。
計算尺って何?
風立ちぬで出てきた謎の道具ってどう使っていたの?
と興味がある方はぜひご覧ください。
私が計算尺の存在を知ったのは、まさに1995年公開の映画「アポロ13」でした。
ベジタリアンが地球温暖化を防ぐ!?
BBCニュース(英語)にこんなタイトルの記事がありました。しかも、国連の専門家がそう言っている、とのことです。
食品産業からの二酸化炭素の排出が全体の26 %、そのうち過半数の58 %が動物食、つまり肉製品とかから排出されている、ということだそうです。
日本人にはベジタリアンとかビーガン(vegan、卵や乳製品も食べないどころか、革製品も使わない完全菜食主義者)の人ってまだとても少ない印象がありますが、欧米系の人の中にはけっこうベジタリアンはいるような印象が個人的にはあります。
一方で、ビーガンの方々の話を聞くと、人によってはビタミンB12が不足して健康診断で色々指摘されたりと、必ずしも健康とは言えない方もいるようです。日本人は、少なくとも私はなんでもバランスよく食べて健康で長生きに、という食育を親からも小学校からも教わってきたので、そこまでしてベジタリアンになろうと思う方も少ないのかもしれません。
しかし、ビーガンの方々の話をよくよく聞くと、ナチュラリストというのか、つまりそれで長生きできないのならそれが自分の寿命なのだ、というような考えの方も結構いる印象があります。
突き詰めると、地球温暖化はそもそも肉製品だとか食品産業だとか関係なく、地球全体の人口が増えすぎていることが根本的原因のような気がしてきました。そういう意味では、個人が長生きしすぎるのも問題なのかもしれませんが、あまり深く考えると良い結論に至らないかもしれないなぁと思ってきました。
私はお寿司が好きなので、ベジタリアンにはなれそうもないです。罪を背負って生きていくしかなさそうです。
光の波長を測定できる手作り分光計を作ろう!夏休みの自由研究にも使えます!
手作りなのに、光の波長を測定できるという分光計の作り方を知りました。
私なりに工夫をして、作り方をウェブサイトで公開しました。
ちなみに、下の写真のような外観になります。
具体的な作り方は、私が管理している別のウェブサイト(以下のリンク先)で紹介しています。興味のある方はぜひ作ってみてください。
夏休みの自由研究にもいいと思います。ただ、ちょっと内容が難しめかもしれないので、小学校高学年以上向け、それよりも小さなお子様の場合は保護者の方と一緒に作るのをおすすめします。
学校での科学関係の部活動や、自由学習にも使えるのではないかと思います。
光の波長が調べられるので、元素のスペクトル分析など色々な応用ができます。ぜひ試してみてください。
自作元素周期表を更新・公開しました!
見た目がそこそこ良く、かつ学術的価値もある元素周期表がほしい・・・。
今どきネットを探せば「元素周期表」は色々出てきますが、意外とこの二つ、「見た目」と「学術的」が両立している周期表がなかなかウェブ上で見つかりません。
無ければ自分で作ろう!と思った私は、自作した周期表をウェブサイトで公開しています。
この度、久しぶりにその元素周期表を更新しました!
もちろん元素周期表(PDF)は無料でダウンロードできます。
興味のある方は以下のウェブサイトでぜひダウンロードしてみてください。
よしじのものおき
印刷してお部屋のインテリアにするのも一興ですよ。
もちろん勉強にも使えます。ただし、かなり専門的な内容になっているので、受験勉強とかのお役には立たないかもしれません・・・。
これで元素とか化学・科学に興味を持ってくれる人が増えると、個人的には嬉しいです。
土星探査機カッシーニ、20年の運用に幕引き
2017年9月15日、土星探査機カッシーニが「無事」土星大気に突入し、最後のミッションを終えた。
カッシーニの最後のミッションは、自ら土星大気に突入し燃え尽きること。燃え尽きるその直前に、直接測定した土星大気の情報を地球に送ること。この2つだ。
そもそも、なぜ土星の大気圏に突入しないといけないのか?土星の大気を直接するならば、他の方法もあるのではないか?また、バッテリーが切れたそのあとも、そのまま土星のまわりをぐるぐる回っていればいいのではないか?
・・・実は土星の大気を測定するのは、そのおまけらしい。カッシーニは燃え尽きなければいけない運命らしい。その理由が、他の星(土星の衛星)に地球の微生物を送り込んでしまうリスクをなくすためらしい。
カッシーニの探査によって、太陽系には地球外でも生命が存在しうる可能性がさらに高くなった。カッシーニの探査によって、土星の衛星タイタンとエンケラドゥスに、生命が存在する可能性があることがわかった。
まさかそんな重大な発見をしてしまうとは、打ち上げ時には想定されていなかった(と思われる・・・期待していた学者はいただろうけど)カッシーニ。打ち上げ前に滅菌処理などをしたわけではない。カッシーニには、地球起源の微生物が付着しているのだ。
宇宙空間で微生物が生きられるのか?可能である。日本人に身近な「納豆菌」は凍結乾燥状態なら真空でも生きられる。納豆菌に限らない。最強の微生物といわれる「クマノミ」とか、それ以外にもいわゆる冬眠状態で、水のある環境に戻れば再び活動し繁殖する微生物はかなり多い。カッシーニは地球の微生物で「汚染」されているのだ。
バッテリー切れになり、土星の周りをぐるぐるまわっていると、ごくわずかながら将来的に他の衛星に落下する可能性もある。それが、生命のいる可能性のあるタイタンやエンケラドゥスだったら・・・。地球外に生命が存在しうる星の環境を著しく変えてしまうのだ。今日本はヒアリの侵入に戦々恐々としているが、それどころではない生態系の破壊につながりかねないのだ。
カッシーニが自らの功績・・・生命が土星の惑星にいるかもしれない事実・・・のために燃え尽きなければならないとは、なんとも皮肉っぽい気もする。
これで燃え尽きず、土星にも我々の想像していないタイプの生命がいて、結局土星を汚染してしまった・・・とかなったらおそろしいが。まぁアンモニアの大気とかでできている土星なら、人類とか地球の微生物と干渉するような生命体はいないだろうけれど、SF小説のネタくらいにはなるかもしれない。
ともあれ、カッシーニの功績は素晴らしかったと思う。カッシーニも、ずっと運用してきたNASAの職員さんたちも、お疲れ様でした。
以下、カッシーニの数々の功績。
BBCニュースなので英文のみだが、写真とか画像が充実しているので、英語が読めない方もお楽しみいただけるのではなかろうか。