土星探査機カッシーニ、20年の運用に幕引き

2017年9月15日、土星探査機カッシーニが「無事」土星大気に突入し、最後のミッションを終えた。

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カッシーニの最後のミッションは、自ら土星大気に突入し燃え尽きること。燃え尽きるその直前に、直接測定した土星大気の情報を地球に送ること。この2つだ。

そもそも、なぜ土星の大気圏に突入しないといけないのか?土星の大気を直接するならば、他の方法もあるのではないか?また、バッテリーが切れたそのあとも、そのまま土星のまわりをぐるぐる回っていればいいのではないか?

・・・実は土星の大気を測定するのは、そのおまけらしい。カッシーニは燃え尽きなければいけない運命らしい。その理由が、他の星(土星の衛星)に地球の微生物を送り込んでしまうリスクをなくすためらしい。

カッシーニの探査によって、太陽系には地球外でも生命が存在しうる可能性がさらに高くなった。カッシーニの探査によって、土星の衛星タイタンとエンケラドゥスに、生命が存在する可能性があることがわかった。

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まさかそんな重大な発見をしてしまうとは、打ち上げ時には想定されていなかった(と思われる・・・期待していた学者はいただろうけど)カッシーニ。打ち上げ前に滅菌処理などをしたわけではない。カッシーニには、地球起源の微生物が付着しているのだ。

宇宙空間で微生物が生きられるのか?可能である。日本人に身近な「納豆菌」は凍結乾燥状態なら真空でも生きられる。納豆菌に限らない。最強の微生物といわれる「クマノミ」とか、それ以外にもいわゆる冬眠状態で、水のある環境に戻れば再び活動し繁殖する微生物はかなり多い。カッシーニは地球の微生物で「汚染」されているのだ。

バッテリー切れになり、土星の周りをぐるぐるまわっていると、ごくわずかながら将来的に他の衛星に落下する可能性もある。それが、生命のいる可能性のあるタイタンやエンケラドゥスだったら・・・。地球外に生命が存在しうる星の環境を著しく変えてしまうのだ。今日本はヒアリの侵入に戦々恐々としているが、それどころではない生態系の破壊につながりかねないのだ。

カッシーニが自らの功績・・・生命が土星の惑星にいるかもしれない事実・・・のために燃え尽きなければならないとは、なんとも皮肉っぽい気もする。

これで燃え尽きず、土星にも我々の想像していないタイプの生命がいて、結局土星を汚染してしまった・・・とかなったらおそろしいが。まぁアンモニアの大気とかでできている土星なら、人類とか地球の微生物と干渉するような生命体はいないだろうけれど、SF小説のネタくらいにはなるかもしれない。

ともあれ、カッシーニの功績は素晴らしかったと思う。カッシーニも、ずっと運用してきたNASAの職員さんたちも、お疲れ様でした。

 

以下、カッシーニの数々の功績。

BBCニュースなので英文のみだが、写真とか画像が充実しているので、英語が読めない方もお楽しみいただけるのではなかろうか。

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